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ドキュメント72時間語り「COOL!下町 浅草・バッティングセンター」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

 

今回は浅草のバッティングセンター。かつては、田舎町にも、街に1軒は存在したような気がするほど、あちこちで見ることができたバッティングセンターですが、10年以上前から減少傾向にあり、今や都市部にちらほらある程度、と認識しています。 

 

 

昔、何度も通ったなじみのバッティングセンターがつぶれていたり、旅先でふらりと寄ったバッティングセンターのことが急に懐かしくなってグーグルマップで調べたら、とっくになくなっていたり、と、ちょっとさみしい思いをしたことがあります。ちなみに、旅先のバッティングセンターを覚えていたのは、そこのトイレの便器の中に100円を落とし、次の予定があって店員に話す時間もなく、あきらめたことがあったからです。

 

バッティングセンターの客層といえば、遊びのグループ、ガチに打ちに来た野球経験者、そしてカップルが定番ですよねー。ドラマで、カップルがバッティングセンターでデートする場面を何度も見たし。今回登場する人たちもそんなカテゴリーかと思ったら、インバウンド隆盛の今らしい、新しい客層がいたわけで。外国の人はこんなところもクールジャパンだと思うのかと、新鮮な驚きがありました。

 

では、印象に残ったシーンを。

 

  ①外国人でもバッティングフォームが変な人がいることに感じる安心感と、気付かされたとある先入観

おーすトラリアのカップルや、フランスから旅行に来たグループなど、海外旅行者が訪れることが多いという導入部。海外観光客が多い浅草にあるからでは? と思いましたが、インターネットで見てやってきたと答えていた人もいたので、例え浅草じゃなくても、行く人もいるのかも。彼らはバッティングセンターを、日本らしさの1つとしてとらえ、母国にはない新鮮な体験を楽しんでいるようでしたが、グループやカップルで来て、テンション上がったりイチャイチャしたりするのは国内外問わずでしたね。

 

もう1つ、頭に浮かんだ印象が、外国人でもバッティングフォームが変な人いるんだな~ということ。初バッターボックスとナレーションがあったとおり、野球を知らない人もいたようですが、これ、日本の男性なら、特に30代以上ぐらいなら、ほぼありえないことでしょう。

 

野球が国民的スポーツだった時代に少年時代を送ったら、体育の授業や遊びで野球をやったことが一度はあるはずですし、例え体験がなくても野球のTVゲームで遊んだ経験や、野球の試合をテレビで見た経験はあるはず。ですが、フランスでは野球よりも人気なスポーツがあるようで。サッカー、自転車、テニス、ラグビーなどがあてはまるようですが、そんな野球を知らないフランス人がバットを降ったら、野球を知らない女性みたいなスイングになりますよね。

 

そんなスイングを見て、男性なら上手下手はあれどバットの振り方・構え方ぐらいはわかっている、という日本でしか通用しない変な先入観を自分が持っていることに気付かされました。自分もバッティングセンターで空振り連発するレベルなので、あのスイングには共感しましたが。初めてっぽい男性がいきなりホームラン打ったのはすごい!

 

②女性グループの異様なアツさとキャラの濃さに浅草のパワーを垣間見る

子育てを終えたという熟年女性たちが、「掛布!掛布!」とコールしながら打っていたり、飲み屋をはしごする合間に打ちに来た常連女性2人組がいたり、72時間でよく見るパワフル女性グループ場面が今回もありました。熟年女性たちはジムで出会ったというだけに、体を動かすのが好きなんでしょうし、野球にも好きなんでしょうが、それにしても、バッターボックスに入っている友人にかける声が、掛布コールとは……(笑)。他にどんな野球選手を、コールを知っているか聞いてみたいです。宇野とか八重樫とか出てきたら面白いんですが。

 

で、飲みの合間に寄った2人組の常連さんに、スタッフが質問したのが「(無職で)後ろめたくないですか?」。どんな答えを期待してたんでしょうかね。「みんな仕事してるのに、ウチらはこんなバットを振っていて、ごめんなさいみたいな(笑)」という自虐な感じ? それとも、「実は前の仕事で病気して、ちょっと働けないんです。酒を飲むのと、バッティングセンターに来るのとが、現実を忘れるにはちょうどいいんですよ」っていう、告白系ですかね?

 

そんな印象的なコメントさえもらえれば、後は編集でどうにでもなりますもんね。上記の「後ろめたい~」っていう質問をカットすれば、『現実逃避する若者』か『実は病気と向き合いながら、静かに日々を戦う若者』という、印象深いキャラが完成しますもんね。……って、ちょっと毒づきすぎでした。まあ、実際はきっと期待とは違う答えが返ってきて、というか期待を斜め上をいく答えが返ってきたので、これはこれで『今、この刹那を楽しむ若者』像が撮れたので、よし!と思ったことでしょう。やっぱりちょっと毒づいてます、今回。

 

③やっぱりいたいた! バッセンガチ勢! これはいないぞ!巨人の星少女!

バッティングセンターで打撃練習する人は、昔からある程度の数、いました。イチローも小学校の帰り、毎日バッティングセンターに通っていたって聞きますし、そんな人たちがすごいスイングで鋭い打球を飛ばすのを見るのも、バッティングセンターの楽しみだな~と思っています。冗談抜きでスイングの勉強になるし。

 

中でも、今回登場した親子はキャラ立ちがすごすぎます。バッティングセンターでキャッチングの練習! やる人がいるというのは聞いたことありますが、映像で見るのは初めてでした。指導する父親の、キツめな口調と、バットで肩をおさえたりする高圧的っぽい指導法とが、見事な銀髪と相まって、星一徹のような雰囲気を醸し出しています。さぞかし野球経験豊富なのかと思っていたら、流れてきたナレーションは、「野球に打ち込む子供のために、1から野球を勉強した」という衝撃的な言葉。お父さん、コーチの才能あるかも! 

 

指導を受ける子供がさらに衝撃的だったのは、少女! 最初はキャッチャーマスクをかぶっていたからわからなかったですが、キャッチングの練習中の身のこなしのしなやかさが、なんだか女の子っぽく見えて、ちょっと違和感があったのですが、マスクを取ったら案の定でした。

 

女子プロ野球選手を目指すと親に宣言したそうですが、小学生のときに将来について親に宣言するって、すごい決断力と度胸です! キャッチャー志望なんでしょうが、頭も良さそうだし、向いてるかもしれません。今は少年野球で男子と一緒にやっているようですが、今後は女子野球ができる環境がある中学校に進学するか、女子野球のクラブチームに所属するのでしょう。しばらく巨人の星が続くのかと思うと、この親子の未来を見たいです。どこか別の番組で追ってくれないですかね。NNNドキュメントとか、ザ・ノンフィクションとか、テレメンタリーとか。