くうねるよむみる

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小説・本

Kindle Unlimitedで読めるオススメ漫画

実は、Kindle Unlimitedのヘビーユーザーです。漫画や雑誌、小説など、面白そうなものを見つけたら、とりあえず読んでみるようにしています。何しろ、月額980円で読み放題なので、少しでも食指が動いたら食いつくようにしています。 ですが、Kindle Unlimite…

朝井リョウの「何者」/就職活動が上手いのは、今も昔も光太郎のようなタイプ

4月になって、電車や飲食店などでたくさん見かけるようになりましたが、パリッとしたスーツを見るたびに、この作品を思い出します。 就職活動は多くの人にとって人生の分かれ道であり、日本は一度別れたら、簡単にはもう一方の道へ進路変更することができな…

連城三紀彦の「戻り川心中」/この時代の文章はリズムが合うのか、なぜか読みやすく、人物心情もなぜか共感しやすい

日本推理作家協会賞を受賞し、直木賞候補にもなった、連城三紀彦の名作ミステリー。 連城三紀彦といえば、2003年に連続ドラマ化された「恋文」が、今では一番有名かも知れません。恋文自体が1,984年発表で、自分もその数年前に恋文を読んでいたので、21世紀…

小手鞠るいの「早春恋小路上ル」/小説家と思ったらエッセイだったが、スリリングな男を引き寄せる魅力に脱帽

岡山県で育った女性が、大学入学とともに京都で生活を始め、就職、結婚から新しい旅立ちまでを綴った、自伝的私小説。 以前、京都旅行へ行ったとき、現地で京都が舞台の小説を読みたいと思って買った1冊。1日京都を歩き回った夜、京都のホテルで読みましたが…

谷崎潤一郎の「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」

谷崎潤一郎の短編の中から、マゾヒズムに満ちた作品を集めた一冊。ロックバンド・アジアンカンフージェネレーションのジャケットで有名になった、イラストレーター中村佑介さんの表紙が秀逸です。谷崎のマゾヒズムと言えば、女性が加虐的で男性は嗜虐的。刺…

春日太一の「鬼才 五社英雄の生涯」

五社英雄の映画が好きです。最初に五社と出会ったのは、テレビで放送された「吉原炎上」でした。有名なシーンですが、西川峰子が演じる花魁の鬼気迫る姿に、瞬きもできないほど圧倒されたのを覚えています。 こんなすごい作品を監督した、五社英雄とはどんな…

水道橋博士の「藝人春秋2 上 ハカセより愛をこめて」

待望の「藝人春秋2」が出ました! ようやく買えたので、読み始めます。本当は上下巻買って帰ろうと思ったけど、持っていた荷物が重かったので下巻は後にすることにしました。 自分は前作の「藝人春秋」も読みましたし、男の星座シリーズも読みました。博士…

乾くるみの「リピート」

必ず2度読み返す、で話題となった「イニシエーション・ラブ」を執筆した、乾くるみのミステリー。過去に戻って人生をやり直さないか、という話を持ちかけられた男女が奇妙な運命の奔流に飲み込まれていく、というストーリーですが、そこはどんでん返しの乾く…

小森 健太朗の「大相撲殺人事件」

相撲界が暴力問題で揺れていますが、それを予言した書物があったとSNSで話題になったのがこの本。裏表紙のあらすじからして、どうかしてます。「外国人の青年が飛び込んだ相撲界は殺戮の嵐だった!」とか、「立ち会いと同時に爆死する力士」とか「頭のない前…

北村薫「太宰治の辞書」

最近、書店で偶然見つけて、思わず声を出しそうになった本があります。北村薫の「太宰治の辞書」。人気シリーズ「円紫さんと私」シリーズの最新作です。日々の生活の中に潜む、ちょっとした謎を落語家の春桜亭円紫さんと「私」が解き明かすミステリー。いわ…

三宅隆太監督著「スクリプトドクターのプレゼンテーション術」

土曜の夜にTBSラジオで放送している「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」のリスナーです。特に番組後半のコーナー「サタデーナイトラボ」が好きで、刺激的かつタメになる話を聞かせてもらったかと思えば、何とか面白くしようと腕力にものを言…

検屍官

追い詰められて開き直った女は強い。火事場の馬鹿力が本当に出るのかどうかはわからないが、とにかくそのパワーはすごいものがある。この作品の主人公、ケイ・スカーペッタもそんな女性の1人である。10作以上を数える人気シリーズだけあって、ストーリー自体…

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

2つのストーリーが同時進行で進む話がある。大体の場合、それはお互いに相手の伏線として機能していて、最後には融合しておお盛り上がりのクライマックスをむかえるのがパターンである。今作も2つのストーリーが交互に進むが、基本的には別の話であり、接点…

痴人の愛

自分の意のままになる女が欲しいというのは昔からの男たちの夢であり、そんな小説をあげていけばキリがないが、その中でナンバー1なのが今作である。天才的変態・谷崎潤一郎が書いた男のロマンは時代的な古くささはあるけれど、妖艶な雰囲気はバッチリ味わえ…

毒猿―新宿鮫〈2〉

大沢在昌のヒット作新宿鮫シリーズの2作目。ラストの新宿御苑の決戦はハードボイルド小説として歴史に残る名場面として人気が高い。シリーズの中でも1,2を争うクオリティーだと思うし、読んだ後のカタルシスもたっぷりと味わえる。今回鮫島と戦うのは毒猿と…

火車

現代の人間が一番縛られているものは「お金」である。そのために人をだますこともあれば殺すこともある。殺人というルール破りはするのに、「お金」というルールだけは守るのである。社会からはみ出たことをする人間が積極的に守ろうとするというのも皮肉な…

青の炎

倒叙ミステリー+青春小説=青の炎。こんな方程式を成り立たせた貴志祐介はすごい。若干青春小説よりではあるものの、ハラハラドキドキ感はちゃんと味わえるし手のこんだ犯罪も起こる。そして何より、作品の舞台である湘南の海にようについ見とれてしまう力…

猫と庄造と二人のおんな

猫は自分を好きな人間にはわざと冷たくするらしい。人間にとってはそんなへそ曲がりなところが可愛いのだが、猫はそうやって自分に近づいてくる人間を好きなのかどうか…。そういう「追われたら逃げる」猫タイプの恋愛をする人間がたまにいる。しかも、たいて…

砂の女

人間はきつく縛られると逃げたくなるが、ゆるく縛られると積極的に逃げようとしなくなる。「今すぐ逃げなくてもいいか」と思ってしまうからだろうが、それこそが人間の弱さなのだろう。近作で、突然拘束されて穴の底での生活を強いられた男は間違いなく、き…

どすこい。

京極夏彦が相撲とミステリーを合体させてコミック風味に仕上げた短編集。ミステリーを多く読んでいる人ほど楽しめる内容ではあるが、ミステリー初心者にも十分おもしろい。自分の名前を含め、元ネタが持つ風味を消さずに自分の味をつけ加えられる京極夏彦の…

6ステイン

大ニュースにはならなくても、身近なところで裏家業のヤツらは暗躍している。福井晴敏初の短編集であるが、扱うのはやっぱりDAISだ。女性が第一線で活躍するのも同じだし、そんな女と妙な絆を感じる男が登場するのも何度も使われたパターンなのだが、そ…

キャッチャー・イン・ザ・ライ

「反発」こそが若さである。ちょうど手の中で縮めたバネのように、ちょっと気を緩めると、どこかに飛んでいってしまう。それがいい方向に飛んでいけばいいが、大体はとんでもないところへ向かうから大変だ。そんな、あるぬ方向へ飛んでいった若者の一人語り…

恋愛寫眞

「いま、会いにゆきます」で泣けた人なら、きっとむせび泣くはず。「いま会い」よりもさらにトンデモ設定なのだけれど、「好きな人が幸せになるのが自分の幸せ」と思って行動するヒロインのいじましさはそんなことなんか関係なしに胸に迫る。ちまちま読むよ…

戦国自衛隊1549

原作版だけ読んだ。内容はともかく、この本の装丁はどうにかしてほしい。新しいことに挑戦してやろうという意気込みは買うが、それと読者として感じるイライラ感は別ものである。横に広い本を読むというのがこれほど疲れるとは知らなかった。 著者: 福井 晴…

なみだ研究所へようこそ!

長編より短編のほうがうまい、奇特な作家、鯨統一郎。この作品はその十八番、連作短編集である。連作短編の良いところは、連続ドラマを見ているような感覚でポンポンとリズミカルに読めることである。「本を読みたいんだけど、最近集中力がないんだよな~」…

ボビーZの気怠く優雅な人生

世界には、自分とうりふたつな人が何人かいるという。単純に考えて地球上には65億人の人間がいるわけだし、肌の色は例外としても目や鼻など大元の部分は変わらないわけだから、偶然パーツの組み合わせが同じになることもあるに違いない。この作品では、ある…

僕に踏まれた町と僕が踏まれた町

波乱万丈の人生を送ってみたいと常々思っている。20歳のころは「レールに乗って生きるなんて…」と70年代の青春ドラマのようなことを割と本気で思っていたし、実際今はレールからはずれて道なき道を突っ走っているような気がする。それでも中島らもの人生にく…

深夜特急

かつてのお化け番組「進め!電波少年」の人気企画、大陸横断ヒッチハイクの元ネタになった作品である。電波少年はバラエティー番組のためかなりの演出が入っていたが、こちらは一応本物の貧乏旅行だ。まず驚かされるのが作者・沢木耕太郎の無謀な行動力だろ…

恋文

以前、田辺聖子や遠藤周作、そして連城三紀彦は恋愛の雰囲気を表現するのがうまいと書いた。セカチューなどとくらべて何が違うのだろうと、ぼんやりと考えていたら、不意に答えが見つかった気になったので忘れないうちに書いておく。この作品の作者である連…

城をとる話

司馬遼太郎はへそまがりである。司馬の作品でよく見られる表現に、”とは思わない”というのがある。その使い方は、たとえば、”○○は、「~をしよう」、とは思わない。”といった感じで読む側に肩すかしを食らわせるようなやり方である。こんな書き方は司馬のク…