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ドキュメント72時間語り「東北 春を探して 国道45号線を行く」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

 

今回は、東北の太平洋岸を走る国道45号線を72時間走る企画。ロードムービーものは、過去に2回ほどやっていて、どちらも人気回となっています。国道16号とか、四国の酷道とか。基本的に車で移動し、その途中で見つけた面白そうな建物や人に話を聞くのがフォーマットですが、移動中に面白そうな人を見つけるのは、通常の定点カメラが使えないだけに、スタッフの目が生命線になる回だと思っています。かつての16号では初々しくもヤンキーな香りがするカップルとか、酷道ではお土産をくれたおばあちゃんとか、名キャラクターが登場しましたが、今回はどうなるか?

 

では、印象に残ったシーンを。

 

部活に打ち込んで授業中静かになった自称問題児

始まってすぐ、いきなりナイスキャラが登場しました。授業中うるさかったという自称問題児という少年は、部活を熱心にやったら授業中静かになったと、いきいきと語ります。ありあまるエネルギーをどこにぶつけたらいいかわからず、持て余してしまうのは青春時代にありがちで、それが見つかったとき、夢中になるのもよくあるストーリー。しかも、陸上で市内で一番を目指しているとか。まるで漫画のようなキャラクターです。

 

暮らしの中心が内陸に移ったのは文化の進歩の証かも

津波被害にあった地域は、のきなみ街を内陸に移動させたと、ニュースで見ていましたが、今回の放送であらためて本当に中心地が移っているんだと実感しました。かつて、海沿いでないと生活が不便だった時代があり、そのため海の近くに街が栄えていたわけで。その名残は今も世界中にありますよね。大都市はだいたい海沿いか川沿いですし。

 

それが内陸でも生活できるほど文化が進化したため、もう海沿いで生活する必要がなくなったのが現代なわけで、川も海も、近くになくても生活に困らなくなったのは時代の変化だなあ、と。まあ、内陸といっても、それほど海から離れているわけではないし、大げさな解釈ですが、この先は水害がない街が、住みたい街として人気になる日がくるかもしれません。

 

海によって命の危険にさらされながら、海が好きという心の強さ

SUPを毎日やるために海に通う59歳の男性。エネルギッシュです。3月の海でやるなんて! 震災後でも、海が好きと言える心の強さに感服しました。もしかしたら、自分が思うより、東北の人たちは、海に対して心の中で一区切りけじめをつけて付き合っているのかもしれません。憎んでも憎みきれないけれど、それにとらわれていると前に進めないし。生きていかなきゃいけないし。

 

ところで、このSUPの男性に、「今日の海は何点ですか?」と質問していましたが、どうして点数をつけさそうとするんですかね? テレビのインタビューでよくある質問ですよね。いまだに聞く人がいるんだ~と、少々懐かしさと、もう少しひねった質問してもいいのでは? と厳しい意見と、両方が心の中で芽生えて、変な気分で見終えました。自分ならなんて質問するかな……。