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ドキュメント72時間語り「選 赤羽・おでん屋エレジー」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

 

今回は一度放送された回から、スタッフがセレクトした選集。2015年に放送された回ですが、この赤羽回は記憶に残っています。赤羽といえば、朝から飲める飲み屋街があり、しかもリーズナブルという、酒飲みにはたまらない街。北側を流れる荒川の向こうは埼玉県ということもあり、このエリアは東京の中でも庶民的な雰囲気が漂っているように感じます。そんな不思議な空気は、「東京都北区赤羽」という漫画やドラマでも紹介されています。ディープな人たちが次々と登場する作品でしたが、今回の放送もなかなかに味わい深い人たちが取材されていましたね。あらためて見直すと、前回見たときとは違った感想を抱いたところもあったり。

 

では、印象に残ったシーンを。

 

①「おかえり」と挨拶してくれる、おでん屋のアットホームさ

メイドカフェか!というツッコミは置いといて、仕事終わりにちょっとだけ立ち寄る人が多いんだろうなというのがわかる挨拶。「おかえり」と言ってくれるところってあまりないと答えていた人がいましたが、おかえりと親密感を出してきつつ、それ以上は客と話している様子は放送されていませんでした。注文を受けるときだけフレンドリーなんでしょうが、そんないい感じの距離感が居心地がいい理由でしょうかね。

 

②朝帰りに飲む、七味風味のだし割り日本酒

早朝から店の端でカップ酒を飲むスーツ姿の男性。立ち姿といいカップ酒をあおる手つきといい、決まってます。聞けば24時間夜勤明けの警備員で、仕事帰りに飲んでいるのだとか。一見、カップ酒がにごっているように見えたのが気になっていたのですが、それはなんとおでんの出し汁割り! そして七味を入れて飲む通っぷり。この七味入れだし割りは何度見ても美味しそう! ただ今回見て思ったのは、アツアツのだし汁を入れてアルコールが余計に飛んじゃったりしないかなということ。あ、その分酒が弱くなって、酔っ払わずに長く飲み続けられるか。

 

それにしても、このおでん屋、夜勤明けの人がたくさん来ますね。自分も朝まで原稿を書いたあと、一杯飲んで寝たいなあという気分になることがありますが、居酒屋に行くのも面倒だし、第一朝に開いてる居酒屋は少ないし、コンビニで酒を買うのもなんか興ざめな感じ。そんな早く寝たいけどちょっと飲んでいい気分になりたいときに、大変都合がいい店なんだなあ、と。

 

③30代女性3人の新年会は、立ち飲みおでん屋

店の端で、静か位立ち飲みをする女性3人組。のんびりそうな主婦、ニュートラルな感じで器用そうな新婚の看護師、ちょっと派手な感じのキャリアウーマン風独身。中学校からの友達だそうですが、30代になり、環境は3人3様に変わっている模様。でも一緒に気持ちよく飲める関係。ほんの数分話しているのを見ただけの自分にはわからない絆があるんでしょうし、去っていく姿には、これからも仲いいままなんだろうなと思わせる空気を感じました。たまに会うと彼女たちが言っていたのも、関係が長続きする理由かも。それも距離感だよなあ。

 

いい距離感の人が集う、いい距離感の店。