プレイボール - くうねるよむみる

中学野球漫画の大傑作、「キャプテン」の高校編。墨谷高校へ進学した谷口がダメ野球部をひっぱっていくというストーリー。とはいえ、劇的に強くなって甲子園に行くということはなく、もっぱら地区大会だけの戦いである。

「キャプテン」同様、練習や試合などの野球のシーンしか描かれないという高純度な野球比率は今回も健在だが、「キャプテン」が月刊少年ジャンプ連載だったのに対し、「プレイボール」は週間少年ジャンプに連載されていたため、話が進みすぎないよう配慮されたのか、たまに野球をしない回もある。それでも素振りのシーンだけは出てくるのがこの漫画らしいし、谷口の野球バカ一代っぷりが描かれていておもしろい。谷口は勉強の気分転換に素振りを始めるのだが、それは母親に言わせれば、「素振りの気分転換に勉強をする」という状態らしい。

今作の谷口は、中学選手権で優勝したチーム(墨谷二中)のキャプテンだった男であり、そのため最初から野球ができるヤツとして描かれている。そのために、野球では猛練習をしてうまくなるという「キャプテン」であった名シーンはないが、その代わり谷口がサッカーの猛練習をするシーンが登場する。

中学最後の試合で指をケガしてしまったため野球をできなくなった谷口がサッカーを始めるのだが、そこでもまたムキになってしまうのだ。とくに先輩からのシゴキシーンは、作品を通じて谷口のすごさが最もよくわかる場面となっている。「実は谷口ってどんなスポーツをやってもそれなりに大成するんじゃないの!?」と燃える反面、よくあるスーパーマン的な主役が登場する漫画と同じような気がして、ちょっとさめてしまったりもする。

近々テレビアニメ化されるらしいが、変に上品にしたりしないで、いい意味での泥臭い作品にして欲しい。