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マシニスト

恐るべきはクリスチャン・ベイルの役者魂。30キロもの殺人的減量をして作り上げた1年間眠っていない男の体は、陰影の濃い映像とミックスするとほぼ死体同然に見える。

そんなリアルゾンビである機械工トレバーが1人の男と出会うのをきっかけにショッキングな出来事にまきこまれていくというサスペンスストーリー。いや、怖いのなんの。映像、演出、音楽、全てがおどろおどろしく、見ていて気持ち悪くなってしまった。いい意味で、これだけ憂うつにさせてくれる作品は貴重である。

いろいろ怖いシーンはあったのだが、個人的なベスト1はトレバーの同僚が機械に腕をはさまれる場面。割と前半で出てきて、「何か不吉なことが始まった!」というのを感じさせたのが理由だけど、それ以上に自分が昔、観覧車のドアに指をはさまれたことがあって、「機械が体に食いこむ」ということがトラウマになっているからだ。

マシニスト(machinist)とは「機械工」という意味と「運転者」という意味があるらしい。結構意味深なタイトルである。自分は最初、あばら骨が浮き出たトレバーの体が機械のギヤのように見えるから、機械のような人間という意味でマシニストなのかなとカン違いしていた。

そういえばこの作品、設定ではアメリカのLAなのに、スポンサーの都合でスペインのバルセロナで撮影したのだ。それが功を奏して、アメリカっぽいのにどこか違和感を感じさせる風景ができあがった。運も味方したらしい。