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夜の果てまで

ハードカバーでは「湾岸ラプソディ」という題名で発売された作品。こっちのほうが、作品に漂う雰囲気をよりうまく表していると思うのだが、作者の盛田隆二は、上記のほうが好きだったらしい。当初のタイトルだと、湾岸高速を突っ走る車好きなオヤジたちの哀愁物語とカン違いしそうだから、いいか。

人妻と大学生が恋に落ちる不倫恋愛話だが、物語が進むなかで、どんどん深みにはまり堕ちていく2人の様子に、切ないのとは違う種類の胸の苦しさを覚えてしまう。冷静に考えると将来の展望もなく長続きするかどうかもわからない行き止まりな状況なのだが、俊介と裕里子にとってはあの安アパートが幸せのゴールだったのだろう。誰にもジャマされないわけだし。

「セカチュー」や「いま会い」などのような、1人の人を思い続けるのも純愛だが、愛する人のために他の全てを犠牲にするのも純愛だ。後者のほうがずっと激しいけど。






著者: 盛田 隆二
タイトル: 夜の果てまで