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自分の中に毒を持て

尊敬の意味で言うが、岡本太郎は本当に変人である。大坂万博で有名な太陽の塔に代表される、キテレツなオブジェを考えついたり、「芸術は爆発だ」と目玉をひんむいて叫んでみたり、一般人にはまったく理解不能な人種というイメージだろう。

だが、この中の岡本太郎は、哲学者でありアジテーターである。中でも心に残っているのは、「矛盾したっていいじゃないか」という言葉である。一見相田みつをが言いそうだが、岡本太郎はこれを自分へのなぐさめのためではなく、真の自分を発見するきっかけととらえている。ギリギリの状態に追い込まれること(矛盾の責任を取ることを含む)で、本当の姿が見えてくるというのだ。

一般的に人は矛盾しないように生きているし、理由もなく前と違う意見を言ったりすると確実に非難される。社会的信用を失うわけだが、岡本太郎はそんなことを全然こわがらない。逆に人から嫌われようと努力してきた。芸術だけでなく、生きかたが爆発している。「それが僕の信念だ」と語る。

人と違うことが評価される芸術の世界において、「狂っている」というのは誉め言葉だ。この本を読んだ後、思わずその一言をつぶやいてしまうに違いない。

関係ないけど、読んでいると無性にパリに行きたくなった。感化されやすい性格である。





著者: 岡本 太郎
タイトル: 自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか