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ドキュメント72時間語り「選 長崎 お盆はド派手に花火屋で」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

 

今回は過去の傑作選の再放送。長崎のお盆の回は、2016年の朝までドキュメント72時間で、年間1位に輝いた名作です。2015年の牛久大仏のお盆の回、2014年の谷中霊園のお盆の回、ともに名作が続くお盆の密着回。お盆シリーズに外れなし! と2016年の年末にツイッターでつぶやいたのをおぼえています。久しぶりに見ましたが、やはり亡くなった親族を思い出して涙する人たちの姿には、今回も、もらい泣きしそうになりました。

 

では、印象に残ったシーンを。

 

 

町中に花火専門店が存在している違和感=長崎の日常

そもそも、花火屋さんが町中にある、ということ自体、長崎以外の街の住人からすると、新鮮かつ違和感がある光景。そこへ、札束を持って買い物に来る人達の姿も、また違和感。それにしても豪快です。爆竹を箱ごと火をつけるって(笑)。ただ、店頭では、お盆中は爆竹の半額セールを行っているんですね。稼ぎ時かと思っていたので意外ですが、亡き人を弔うための大切な道具という考えが、店の人にもあるのかもしれないな、と思ったり。買う人も長崎の人なら売る人も長崎の人ってことですかね。

 

「長崎の人は2回おわかれができる」家族への愛がこもってます

上記は、母をなくしたという男性の方の言葉です。普通は亡くなったときがおわかれのときでそれ1回きりですが、長崎は初盆に弔いの花火を鳴らし、精霊船を曳く2回目があるわけで、爆竹の音とともに亡き人を偲ぶことができるのでしょう。取材されている人も、精霊船を曳いているときに話を聞くと、ほぼ涙目だったように思います。爆音と火花という、一見にぎやかそうな雰囲気の中だからこそ、家族を失ったさびしさが浮き彫りになる家のようです。

 

不慣れな地の不慣れな行事で亡き夫を弔う妻の健気さ

一番グッときたのが、この人です。長崎の初盆の風習がわからず、亡き夫の関係者らしき人たちに助けてもらい、精霊船を作り、扱いを知らない爆竹に火をつける妻。その間、彼女の目に涙は見えなかったと記憶していますが、これが夫に捧げる最後の大仕事だという責任感と、やりぬくぞという決意の表れのように感じました。長崎で暮らしたかったというご主人のことを考えれば、当然、お盆もこうやって過ごすだろうから、代わりに自分がやってあげる、とでも思っているのかもしれません。

 

お盆回が鉄板なのは、親しい人が亡くなった人ばかりだからでしょうかね。つい感傷的になりがちな登場人物の揺れる気持ちに、こちらも共感してしまうからかも。

そう言えば、にぎやかに爆竹を鳴らす精霊船の中で、手持ち花火を全員で持ちながら精霊船を曳く一団は、ちょっと優雅に見えました。