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ドキュメント72時間語り「伝説のゲーセン 大人たちの闘い」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

 

今回は、高田馬場にある伝説のゲーセン。看板も画面に映っていたので、すぐにわかりました。店名は「ミカド」。HPはもちろん、YouTubeニコニコ動画もやってるし、ツイッターはフォロワー1万人以上いるし、本当に伝説のゲーセンという感じです。2フロアに無数の筐体が置かれているあの雰囲気は、隆盛時のゲーセンそのままで、まだまだ生き残っているんだと嬉しくなりました。インタビュー時、あちこちから電子音が聞こえてくる、騒がしくも懐かしい異世界感。ゲームもそうですが、ゲーセンという非現実世界に浸りたくて足を向ける人も、きっと一定数いるんじゃないかな。

 

では印象に残ったシーンを。

 

①つかみはバッチリ!? ゲームに詳しくない人を引き込ませる確信犯のプロローグ

「プライベートをゲーセンで聞くのはタブー」、「これが人生の負け犬」、といった、痛々しくも自虐的なセリフが、テンション高めな声色で流れてスタート。さらに舌を出しながらプレイする人の画と、いわゆるオタクっぽいところを最初から出してきた構成。見ていて、この先もずっとこの調子でいくのかと ちょっと不安になりました。

 

結果的に、いつもの調子だったのでホッとしましたが、一般人が持っているであろうゲーセンのオタクなイメージを最初に持ってきて、ゲームに詳しくない人たちに興味を持たせ、ゲーム好きな人にあるあるという共感とも自虐ともつかない感情を抱かせ、結果的に両者ともに映像にひきこませることに成功したんじゃないでしょうか。ちょっと演出過剰な感じしましたけど。

 

②ゲーム・ゲーセンという居場所を通じて人付き合いを学んだ女性の幸福感

ゲーセン通いをする人たちを、同じ部活動をしているような感じ、と語った女性が、ゲーセンに行って、人と話せるようになったというくだり。同じ好みというか波長というか、とにかく意気投合できるグループに所属するというのは、人格形成に大きい影響を及ぼすなあと、あらためて思った次第。その場合、犯罪起こすようなグループとかだと話は別ですが、大体は所属することでいい方向に進むので、自分の居場所を見つけるのって本当に大切なことで、そんなナワバリを見つけたこの女性は、病気こそあれきっと幸せだなと。

 

③突き抜ければ、何でも賞賛を得られるという一例

昨今はe-sportsがメディアで注目されるようになり、プロゲーマーをはじめ、ゲームに熱狂的に打ち込む人たちは社会的に認知され始めているように思いますが、以前はまだ、社会人がゲームに熱中していると言いづらい雰囲気がありました。だから、格闘ゲームイベント「Evolution」で準優勝するぐらいのレベルの人でも、周りに話していないというのは、当然のことだったでしょう。

 

そんなゲームへの偏見みたいなものを煽る一翼だったのがメディアだったと思いますが、周囲の見る目が変わったきっかけが、テレビの取材だったといううのは、ある意味皮肉な話です。以前の取材の内容は知りませんが、それ以来、周囲から応援されるようになったというのは、手のひらクルーみたいな感じで面白いですよね。以前、シャ乱Qつんくが語っていた「オセロがパタパタとひっくりかえるように、(世間の評価が)変わる瞬間がある」というのと同じ感じかと。

 

あと、51歳のサラリーマンが30歳の同僚について話すとき、ドラクエのナンバーで世代を語るのが、ゲーム回っぽくてよかったです。流行り物になぞらえて世代を把握するのは、歌でもテレビ番組でもスポーツでも一緒ですよね。ドルアーガの塔の前で話していたのも、なんかよかった。