くうねるよむみる

いいモノ、いいコンテンツ、いい人を知りたい

タンポポ

エッセイを読むとわかるが、伊丹十三は食に人一倍の感心を持っている。彼以外にも、才能のある人が食へのこだわりを見せたエピソードをいくつか知っている。いわゆる天才という人種は食べることを楽しみにしている人種と重なっているのだろうか。


一般的に、おいしいものを食べたくない人はいないはずだ。だが、まずいものを食べたくない人はいる。何をまずいと感じるかは人それぞれだが、その「まずいと感じるレベル」が非情に高い人が食へのこだわりを持っている人ということになるだろう。何を食べてもおいしいと感じるなら、食へのこだわりを持つことなどないはずだからだ。


そして、その性質が仕事にも好影響を与えているのではないだろうか。嫌と感じるレベルが高いというのを仕事に置き換えれば、要求するクオリティーが高いということにつながる。結果としていい仕事をしないと納得できなくなるのだろう。つまり、何かにつけて高望みしがちな性格の人が天才と呼ばれるということか。自分には無理だ。


そんなこだわりを持っていない人が、天才のこだわりを勉強するのに最適な作品がこのタンポポだ。冒頭でラーメンの正しい食べ方をレクチャーするシーンが出てくる。初めて見たときは「こんな面倒くさいことやってたら全然おいしく食べられないよ~」と思ったものだが、それ以来ラーメンを食べるときは、ついあの手順で食べてしまう。何だか歯がゆい。



タイトル: 伊丹十三DVDコレクション ガンバルみんなBOX (初回限定生産)