くうねるよむみる

いいモノ、いいコンテンツ、いい人を知りたい

コンスタンティン

日本に住んでいる限り宗教に深く関わることはないだろうと思っていた。クリスマスは言うまでもなく、生まれたらお宮参りといって日本神道的なことをやるし、死んだときにお経をあげるのは仏教のお坊さんである。宗教をイベントの一種としかとらえていない社会で暮らしているのだから、そう考えるようになるのは当然だった。

ところが最近、宗教に対して深く考えさせられる出来事があった。知り合いのカップルが宗教上の理由から別れたのだ。いろいろと相談に乗ったが、どうアドバイスしたらいいか悩みに悩んだ。結局、「運が悪かった」とか「縁がなかった」というあいまいな言葉しか言えなかったが、それはもしかしたら、宗教を馬鹿にしてはいけないというモラルにも似た固定観念に自分の頭が支配されているからかもしれない。


そんな古くさくもマジメな宗教観を持っている人たちばかりが登場するのがこの作品である。人が死んだら必ず天国か地獄へ行くし生きている人全員が地獄に行きたくないと思っている世界に、キアヌ・リーブス演じるコンスタンティンは生きている。マトリックスのネオのようないい人度100%の救世主ではなく、ワルっぽさありありのブラックな救世主というのが今回の役どころだ。


肺ガンなのにタバコをスパスパ吸ったり、「クソッタレ」なんて下品な言葉を好んで使ったりするニヒルな男が教会で天国行きを懇願するという図は、さんざん悪さをして捕まったヤンキーが前科持ちになりたくないために取調べをする警察官に甘えているようで、ちょっと笑えた。きっとキリスト教文化が浸透した国の人たちはこのシーンに共感するんだろうが、このあたりで自分は日本人だと再確認した。