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僕に踏まれた町と僕が踏まれた町

波乱万丈の人生を送ってみたいと常々思っている。20歳のころは「レールに乗って生きるなんて…」と70年代の青春ドラマのようなことを割と本気で思っていたし、実際今はレールからはずれて道なき道を突っ走っているような気がする。それでも中島らもの人生にくらべれば全然まともでマジメだ。


今は、幼稚園から大学まで私立の名門校とか、東大を卒業して会社を起こすとか、とんとん拍子に成功する勝ち組な人の生き方がうらやましがられている。けれど、ちょっと前は東大を中退してしがない会社員をやってるとか、学歴はないけどお金持ちとか、いわゆる「ドロップアウト」や「成り上がり」という言葉で代表されるように、階段を踏み外したり、逆に階段を無理やり這い上がったりする生き方がカッコイイとされていたように感じる。


高度経済成長やバブル景気という社会全体に勢いがあってその流れに乗っていれば適当に生きていても食べていけた時代と、かつてない不景気時代で全然明るい未来を想像できない時代では、カッコよさの価値観が違うのはわかるしホリエモンの生き方を否定する気も今はない。ただ、この作品を読んだ後は、もうちょっとゆるく生きてもいいんじゃないかなと悪魔の誘いにも似た提案をしてみたくなる。


著者: 中島 らも
タイトル: 僕に踏まれた町と僕が踏まれた町