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Seventh Anniversary

ここ10年続く最大の流行は「恋愛ブーム」だろう。それは人が生きるのに欠かせない要素であってブームとは呼ばないと言う人もいるだろうが、あえてそれに反論してみたい。90年代以降「個性」という言葉が異常に重要視されて人と違うことが一種のステータスにまでなった。けれど、恋愛に関してだけはいまだにみんな右へならえ状態である。


2人きりでゴージャスなデートを楽しむなら別にいつだっていいはずなのに、どうしてみんなクリスマスにやりたがるのだろう。「みんなと一味違うことをしよう」と高いお店やホテルを予約する人たちも「12月24~25日」という日にちだけは同じであり、その意味で最近の恋愛はブームといっていいはずだ。

「普通の日にやるより盛り上がるから」という理由もあるだろうが、よ~く考えて見るとサンタクロースやもみの木やクリスマスソングは恋愛とは全然関係ない。雑誌やドラマによって、それらが恋愛の象徴のように洗脳されているだけだ。ならば、別のものが新しい恋愛の象徴となる可能性も大いにあるし、もしそんなことになったら、みんな何も考えず飛びつくに違いない。この作品では『尿道結石』がそうなった。

失恋して体から石を産むのがブームとなった世の中と、それに踊らされたり便乗したりする人々を描いた今作は、「GO」の行定勲監督が現代の流行を皮肉って作ったのではないかと思われる恋愛ファンタジーだ。コミカルなテイストでテンポ良く始まるが、その気分はすぐに裏切られ、最後には落ちこんでしまいそうになる嫌な感じのストーリーである。行定色ともいえる原色の多い映像が、そんな世界をさらに気持ち悪く見せている。


タイトル: 行定勲 Hert Wraming Collection Seventh Anniversary