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パルコフィクション

西武系列のデパート「パルコ」を題材にしたオムニバスコメディ作品。5つのエピソードから構成されるが、全部合わせても65分という、テレビドラマのような映画である。「ウォーター・ボーイズ」の矢口史靖鈴木卓爾が監督をしただけあって、どの短編もそれなりに味があっておもしろいし、出演者もドラマや映画で一度は顔を見たことがある名脇役たちばかりで、ストーリーに花をそえまくっている。
この作品でパルコのイメージをアップさせるのは無理かもしれないけど、パルコの上層部は遊び心を持っていることだけは理解できる。イタリア語で公園や広場を意味する「PARCO」。『人々が集い、時間と空間を共有し、楽しんだりくつろいだりする場』という願いをこめているらしいが、この作品もそのPARCOのコンセプトにそって作られているのだろう。

かつては宝の山のように重宝されていたデパートは、今やディスカウントストアや大型スーパーの陰に隠れてしまい、さみしい姿をさらしているが、日本最大の流通激戦地の1つである渋谷では東急とPARCOの2大グループがデカイ顔をしている現状を考えると、まだデパート産業は復活の可能性を残しているのかもしれない。今作はそのきっかけを作るためだったと考えると、もっと多額の予算を与えて、もっと派手にやらせてもよかったのではないだろうか。スタッフと出演者は本当によくやっている(とくに「はるこ」に出てくる子役2人)だけに、小さくまとまらざるをえなかったことが残念でならない。



タイトル: パルコフィクション デラックス版