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私が愛したリボルバー

現時点で8作が翻訳出版されている人気シリーズの1作め。主人公ステファニー・プラムは30代、バツイチ、無職といわゆる負け犬街道を一直線に爆走中。そんな彼女が稼ぎがいいというだけで就いた職業はバウンティーハンターだ。裁判に来なかった保釈中の容疑者を捕まえて、その見返りに保釈金の何%かをもらうという要するに賞金稼ぎである。

ただし、彼女はまだ駆け出しで、その上ドジでひねくれ者なため、行動すると必ず何かトラブルが起こる。ハードボイルドっぽいタイトルから「太陽にほえろ」的な展開を予想して読むと必ず裏切られる。むしろフジテレビの2時間ドラマによくあるドタバタミステリーに近い。この作品の醍醐味は、もちろん謎解きにはなく物語を通じてどんなメチャクチャなことが起こるかにあるが、主人公ステフは行動力だけがとりえのオモシロお馬鹿女なのでそっちのほうの期待はほぼ裏切られることはないだろう。

ドタバタ女がドラマや映画の主人公になりやすいのは、はたから見ていておもしろいからだろうし、実際こういう女性はモテる場合が多い。ドタバタ男は頼りないと一蹴されてしまうのに、この差は何だろう? きっと男が感じる女性の魅力の1つにドジであるというのが含まれているからに違いない。できる女が敬遠されがちなのはその反動とも言うべきことであり、「何だかわからないけど放っておけない雰囲気」は世界共通の女性的魅力なのかもしれない。


著者: ジャネット イヴァノヴィッチ, Janet Evanovich, 細美 遙子
タイトル: 私が愛したリボルバー