くうねるよむみる

いいモノ、いいコンテンツ、いい人を知りたい

ナショナルトレジャー

「歴史」が人の、とりわけ男の好奇心をくすぐるのはなぜだろう? それは男が歴史上の偉人や建造物を、憧れに似た目線で見ているからではないだろうか。歴史に名を残す人物や建物は凡人にはマネできない大きな事業を成し遂げたり、その結果の産物だったりすることが多い。

 

男はそれに対して「自分にはできないことをやった人」または「自分には作れないすごい物」という思いを抱く。そして「自分もそんなことができるような人になりたい!」というライバル意識にも似た気持ちが(意識的であれ無意識であれ)心のどこかに芽生えるのだろう。または、その業績を打ち立てるまでに起こっただろう様々な出来事を、つい想像して感動に浸ってしまうのかも。「歴史」には、そんな風に男心を動かす作用があるに違いない。

 

それに比べて女はリアリストだから、自分が生まれる前に死んだ人にロマンを抱きづらいような気がする。遺跡などを見た瞬間はそんな気持ちになったとしても、それとは別に「今現在の自分のこと」が興味あるリストの同率1位に立っている。逆を言うと、男はロマンと現実を同時進行できない単純な生き物とも言えるが、そんな女性は多いように思う。

 

だから、この作品に登場するアビゲイルチェイス博士のような女性は貴重である。アメリカの独立宣言書のために命を投げ出すなど、なかなかできることじゃない。脳内の男濃度が、かなり高い人だろうし、ニコラス・ケイジ演じるベンはこれから一生彼女の尻にしかれるに違いない。

 

インディ・ジョーンズシリーズの知的要素だけをふくらました内容なので、派手な冒険活劇を期待して見ると裏切られるかもしれない。次々と出現する謎を、日本人にとってはトリビア的な歴史背景を元に解いていく過程を楽しむのが、1番いい見方だ。

 

自分のような歴史好きは、もちろん手放しでおもしろがれる。