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放課後

今はどうかわからないが、かつて「東野圭吾にはずれなし」と言われたほど、質の高い作品を書き続けた作者のデビュー作。女子高で起こった連続殺人事件の謎を、1人の教師が解き明かしていく学園ミステリーである。ところどころに粗削りな部分がうかがえるものの、登場する生徒たちはみな怪しげで、それでいて魅力的で、思春期特有のゆがんだ自意識ともろさがうまく表現されている。

10代にとって異性とは理解できないが最も興味がある存在だ。異性から好かれたいと思うことによって成長していく例も多いし、それは結構大切なことなんじゃないかと思う。だから、男子校や女子校というのは、子供をゆがんだかたちに成長させる危険性をひめていて、その閉ざされた世界は妄想と行過ぎた自己の開放が充満しているような気がする。男子校卒業生から夏は下半身はパンツ1枚で授業を受けていた話を聞いたことがあるし、女子校卒業生からも当時はみんな女を捨てていたと耳にした。

異性がいないから自由活発に行動できるというのもあるだろうが、見境なく下品になっていくようだ。この作品の犯人の動機も、女子校のゆがんだ空気の影響を受けたからだったのだろうか。納得できなかったわけじゃないけど、とにかくすごい理由である。




著者: 東野 圭吾
タイトル: 放課後