くうねるよむみる

いいモノ、いいコンテンツ、いい人を知りたい

下妻物語

友情というのは、どんな相手に対して芽生えるのだろうか。自分と似たところがある人? 自分と全く違う人? 困ったときに助けてくれる人? どれも間違いではないだろうが、この作品では、「相手に合わせない人」である。

元ヤクザの父親と水商売あがりの母親を持つが、手芸が得意でロリータファッションを愛する桃子と、絵に描いたようなお嬢様育ちだが、ヤンキーでレディースのイチゴは、身も心も180度違う存在。お互い相手を見る目は、まるで珍獣を見るかのようだが、なぜか一緒にいるし遊ぶし、悩みを打ち明けあう。最後にはピッタリ息の合ったところを見せるまでになる。

友達に嫌われたくなりあまり無理して馴れ合うという、うわべだけの関係は2人にはない。この作品はコメディータッチながら、「友達が欲しかったら、まず自分の個性を確立しろ」という強烈なメッセージを放っているのだ。

ラスト、桃子とイチゴが2人で笑っているシーンを見て何だか嬉しくなった。これから、何があっても2人は親友のままなんだろうな、と思わせる笑顔だったから。

深田恭子の不思議ちゃんキャラのハマりっぷりは相変わらずだが、それ以上だったのがイチゴ役の土屋アンナ。腹の底からがなるヤンキー発声を、唯一まともにできていたし、顔つきも本物のにおいがした。賞を総なめにするわけである。





タイトル: 下妻物語 スタンダード・エディション