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功名が辻

来年、NHK大河ドラマで放送予定の原作。知恵も腕っぷしもない貧乏武士、山内一豊とその妻千代が戦国時代を生き抜き、土佐藩を開くまでの物語だ。この作品の山内一豊は、とにかくマジメだけがとりえの平々凡々な男である。対して妻の千代の聡明ぶりは名策略家といっていいほどで、サポートするふりをして実は手のひらの上で躍らせるという高等技術でうだつのあがらない夫をコントロールしていくのだ。

それにしてもこの作品の千代はすごい。成り行きとはいえ忍者まで使うし、織田信長から徳川家康まで、時の権力者には必ず一目置かれるようになるし、それでいて美人って…、主人公とはいえ才能ありすぎである。これほどの女性なら、もっといい男と結婚できただろうにと思ってしまうが、ダメ男がいい女と一緒になるというのは時代を超えた真理なのだろう。

終盤、2人は遂に土佐藩の大名となるが、「よかったねー」的展開にせず、切ない方向へ持っていったのはなぜだろう。司馬遼太郎は、千代の才覚の限界みたいなものを書いておきたかったのだろうか。

ドラマでのラストがどうなるのかにも興味があるが、それ以上に主演の仲間由紀恵には期待している。計算高くない千代を、ぜひ見せてほしい。



著者: 司馬 遼太郎
タイトル: 功名が辻 1 (1)