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ドキュメント72時間語り「1円パチンコに哀歓あり」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。「セブンルール」も面白くなってきたように感じます。不定期だけど「ノーナレ」も好き。

 

今回は、宮城県石巻市のパチンコ屋。1円パチンコって何だと思ったら、玉1個1円で買えるパチンコ屋ってことですね。ナレーションでもありましたが、これまでは玉1個4円が相場だったので、1/4の値段。いつもと同じ金額で4倍の時間楽しめるというわけです。これは長っ尻の人が多そう。数年前から、東日本大震災で被災者がお金をもらいながら、その金をパチンコで消費しているというニュースを目にしますが、それに対する被災者側からの1つの回答が、今回だったのではないかと思います。

 

では、印象に残ったーシーンを。

 

取材拒否回かと思いきや、結構しゃべってくれる人がいた、気さく回

見る前は、パチンコをしている人たちも、上記のようなニュースを知っているでしょうから、テレビに映りたがらない人が多いだろうと、予想していました。細書はやはり取材拒否ばかり映していましたが、京都の図書館ほどじゃなかったですね。

断り方も、ぶっきらぼうだけど、ひどいことを言われたシーンとかは放送されませんでした。北九州の居酒屋のようなシーンがあるかとヒヤヒヤしましたが、安心しました。今回は放送しなかっただけかもしれませんが。

もし、自分が被災者でパチンコしか娯楽がない土地でパチンコしていて、そこにテレビ取材が来たら、やっぱり断るでしょうねえ。ニュースになった経緯があるだけに、どんな使われ方をされるかわからないし、例え、勝手知ったる(というつもりでいる)ドキュメント72時間の取材スタッフだったとしても、放送で、どう使われるか不安ですし。前後のつながりやナレーションの言葉でも、結構印象が変わリますし。金剛山ライブカメラの回みたいな、明るく楽しい感じの場所でならいいかな。

 

「家に帰ってもやることがない」今回を象徴する言葉

何人かが話していたと思いますが、パチンコをしている理由は、「家に帰ってもやることがない」から。この言葉が今回の全てなような気がします。震災でいろいろ失った影響が、7年後の今も残っているせいかもしれないですが、娯楽の少ない地域では、多かれ少なかれ、パチンコが数少ない楽しみになり、生活に溶け込んでいます。比較的娯楽が多いと思われる東京でも、繁華街以外の駅前はパチンコ屋が目立ちます。

暇つぶしをしたい人たちの思考は、時間をつぶしたいけれど気軽にできることがなくて、思いつく中で最も気軽で、しかも楽しいもの、それがパチンコという結論になるんだと思います。暇つぶしをしたい人たちほど、昔からある娯楽にいくような気がしますが、買い物で悩んだ結果、定番的なものに落ち着くという思考に似ていて、人間って、考えを煮詰めると無難なところに落ち着くのかなと。パチンコが無難か定番か、というのはちょっと考えたいところですが。

 

もう1つ、話を聞いた人たちのほとんどが、意外とパチンコが無駄だとか悲しいとか思いながらやっているのが印象的。「ここで、いろいろ忘れられる」と言っている人も多かったですし、パチンコは心のすき間に入り込みやすいものなんでしょうかね。

そんなさみしい言葉を発する人たちの中で、1人「血がみなぎる」と言った老齢の女性のギラギラ感にはやられました。この人だけですかね。マイナスな考えじゃなくプラス思考でパチンコをする理由を語ったのは。自分でも言ってたけど、たまにはパチンコする金でお米買いなって。

 

テレサ・テンのパチンコ台のものすごい押しの強さ!

AKB48のパチンコがあるくらいですから、ちょっと考えればありそうだと気づいたと思いますが、テレサ・テンのパチンコ台には、まったく意表を突かれました。演歌を聞きながらするパチンコは、また味がありそうです。でも、その場合、イヤホンをして、自分の台の音だけを楽しみたいなあと思ってしまいました。雑音の中で聞くのがいいんでしょうかね。ちょっとだけ興味わきました。