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末次由紀の「ちはやふる 37巻」/好きすぎてあえて距離を取る

アニメ化、実写映画化もされた競技かるた漫画。連載開始当時、ちょっとしたブームだった、あまり知られていない類の部活に打ち込む若者の青春を描く、マイナー部活ものとして始まったと認識しています。映画でも、「ウォーターボーイズ」とか「スウィングガールズ」とか、ありましたよね。

 

当時はマイナー部活・またはマイナー青春ものが、いろいろあったと記憶していますが、現在ではそのほとんどが連載終了しています。その中で、ちはやふるが連載11年目を迎えたのは、圧倒的な熱量。これに尽きます。

 

キャラの魅力とか、毎回名言っぽいセリフが飛び出す、見せ方の上手さとか技術的なところは置いといて、一番は、読んでいてストレートに伝わってくる熱量の多さ。「少年漫画よりスポ根してると言われる」と、末次先生が自虐的に語っていた記事を読んだことがありますが、実際その通りだし、先生自身、それを誇らしく思っているような気がしています。

 

競技かるたをする動機やきっかけはキャラクターにより様々ですが、話数が進むほどに、各キャラクターの熱い一面が描かれていき、脇の脇の脇役ぐらいの人たちまでが何かしらの情熱を持って行動している様子が描かれたり。時に脱線しがちだったりして、それなんてワンピ……と思ってしまうこともありますが、脱線はコンパクトにまとめられていてすぐ本線に戻るので、せっかちな自分にはありがたいです。

 

さて、37巻で心に残ったのは、太一が周防さんを思い出すシーンでの「『大事にしない』という方法でしか なにかを大事にできない」という言葉。好きすぎると思いが強くなってしまって身動きが取れなくなるっていうタイプがいますが、周防さんがそんな人なのかなーというのがわかる言葉。

 

歌の世界だと、たまに見かけるテーマです。中村中の「友達の詩」がかなり近いように思います。AKB48の「言い訳Maybe」とかも近いかも。ライターもちょっと似てる部分あるかもです。駆け出しの頃、グルメ記事を書くときに「美味しいという言葉を使わず美味しさを伝えろ」と教えられました。

 

さて、1話の冒頭のシーンまで、かなり近いところまできました。ちはやふるは、 1話の冒頭のシーンが、この作品のクライマックスなんだろうなと思わせるような始まり方だったので、最終回というかラストバトルが近づくのがワクワクもありさみしい気持ちもあり。。。

 

が、現実では、そこにたどりつくまであと3年くらいかかりそうだし、最近思っているのが、1話冒頭のバトルはラストバトルじゃなくて、その後も続くんじゃないかという予想。でも、あのバトルの後を丁寧に描くのは蛇足ですかね。エピローグ的に5話ぐらいでコンパクトにまとめるのが、作品としてはきれいにまとまるかも。でも、ドラゴンボール北斗の拳のように着地点を見失って飛行し続けるのも嫌いじゃないですよ。