ドキュメント72時間語り「今夜も、もう一枚 24時間印刷店」

ドキュメント番組を見るのが好きです。地上波・BSのドキュメント番組をほぼ網羅していますが、特にここ数年は、NHKの「ドキュメント72時間」が気に入ってます。

今週は東京・池袋の24時間印刷サービス。「キンコーズ」ですね。自分も何度か利用したことがありますが、カラーコピーから大判コピーまでできるし、パソコも貸してもらえるので、その場で加工・編集しつつ印刷できるのが便利です。自炊用に本を裁断するサービスもあり、一度やってもらったときは、かなりきれいに裁断されました。

今回は場所的に仕事の延長や、ある作業をするために訪れる、という人が大多数だろうと予想できるので、NHKとしても、ドキュメント映えしそうな人に出会えるか、ちょっと不安な点もあったように感じます。ただ、同じように、珍しい人はいないんじゃないかと予想された新宿の旅行代理店の回では、シンガー・ソングライターのイルカの父親に遭遇するというミラクルがありましたし、その点では取材スタッフが運を持ってるかどうかが試された回と言えるかも。では、印象に残ったシーンを。

①新聞記事をスクラップすることがやめられない元証券マン

会社員時代、朝礼のネタにするため、部下に話をするためのネタとして、新聞記事をスクラップしていたという男性。現役時代は、縮小コピーしていた「おせちが高くなった」という記事を、なんだかんだとうまいこと証券の話やビジネスの話に結びつけて話していたのかな、もしそうなら、どうやって話にしたかまで聞いてほしかったです。退職した後も大量に縮小コピーしているのを見ると、スクラップすることが楽しいんでしょう。今の上司ってどうしてるんでしょうかね。ネットニュースをキャプる？ そもそも朝礼をしないか。

②チラシや作品の印刷をする客の中に見た時代

朝、駆け込みでコピーしにきた大学生。学祭のイベントの台本とチラシの様子。11月頭という時期からみて早稲田祭かなと思って調べてみたら、果たしてその通りでした。前夜に構成を練り直すのはこだわりと言うべきか段取り悪いと言うべきかは置いといて、多分、先輩から早朝コピーを命じられたのでしょう大学１年生の焦った感じに、こっちまでちょっとドキドキしました。早稲田祭と言えば、数十年前から大学の学園祭の中でも、規模の大きさと華やかさでは圧倒的で人気でしたが、最近はさらに人気になっているとか。調べているときに出演する芸能人の多さに驚きました。

もう１人、パソコンで自分の作品を印刷していたデザイナーの女性。その作品が単眼キャラという、いわゆる１つ目のキャラクター。昔と違うのは、目が１つだけのほかは普通の人間とほぼ変わらないフォルムで、かっこよかったりかわいかったりするところ。書店で単眼キャラの女性の漫画を見かけたことがありますが、それもキュートな感じだったし、デザイナーの女性も話していたとおり、単眼キャラブームっていうのが確かに数年前にあったんだなと。

③深夜２時に2,000枚のパッケージを作る人！ ７２時間的に見逃せない！

当初スタッフは、夜討ち朝駆けしてくる切羽詰まった客がいたら面白いな、と予想していたと思うんです。目論見通りかどうかはわかりませんが、朝やってきた学祭前の大学生と、もう１人、おいしい客が深夜に現れましたねえ。朝５時前までコピーをして、７時にまた出勤するというハードな仕事をしている和菓子屋の社長。聞けば、大学のころから会社を始めて20年。最初は学費を稼ぐためだったようで、奨学金も最近返済が終わったそう。そんな話を淡々と、作業しながら話す社長の姿に、この深夜作業がいつもやっている、手慣れたことなんだと気付かされずにはいられませんでした。京都に本社があるとナレーションで紹介されたいたのに東京にいるということは、東京進出中ということで、業績は悪くはないのかも。ただ、店を閉めてからじゃないと作業できないと社長自身が言っているということは、きっと社長自身も店舗に立っているということで、決して余裕があるわけではないということでしょう。印刷した大量のパッケージが詰まった大きな段ボールを胸に抱えて社長は店を出ていきましたが、それよりもっと大きな何かを背中に背負って20年間生きてきたんだろう……と、ポエミーなナレーションが入るかなと思ったら、意外と淡々と次のシーンに切り替わったのがちょっと意外でした。スタッフにはこの社長はあまり刺さらなかったのかな？ ま、いいか。

年末恒例、もう１度見たい72時間投票受付中です！
今年のベスト10を予想するのも楽しみ。例年、予想した10個の回のうち、４～５割しかランクインしないし、順位もほとんど当たらないので、今年はもうちょっと精度を上げたい。
NHKのHPから投票できます。

http://www4.nhk.or.jp/72hours/