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ラスト・プレゼント

人を笑わせることと、人を泣かせることは表裏一体のことだと、あるお笑い芸人が言っていた。人間の生理的な感情を意図的にコントロールするという意味で同じことであり、そのやり方には多くの共通点があるということだろう。そう考えると、人が「笑いたい」と思うときと、「泣きたい」と思うときは、同じ感情が働いているのではないだろうか。


現在は何度目かのお笑いブームだという。不況になるとお笑いが流行るといわれるように、泣きたくなる状況だからこそ笑いたいという気持ちが多くの人の心の底にあるから、そんな現象が起こる気がする。お笑いブームと並行して、いわゆる純愛ブームと呼ばれる「泣ける話」がウケるのも、笑う感情と泣く感情が同じものだという裏づけになるに違いない。


この作品が発表された時期はお笑いブームや純愛ブームが起こる前だが、その両方に便乗できるというお得な構成である。もっとも、お笑いの要素は主役の職業がお笑い芸人というだけで、ストーリーの99.9%は純愛よりだ。


途中、「芸のためなら女房も泣かす」というフレーズを何度も思い出したが、最後まで見たらその解釈が大きく変わった。実は女房は全部納得づくで泣いていて、手のひらの上で操られていたのは旦那の方だったに違いない。


今度、菅野美穂堂本剛の主演でドラマ化される。上でも述べたが「浪花節だよ人生は」的な、とても日本っぽい要素を含んだ作品である。

タイトル: ラスト・プレゼント