くうねるよむみる

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血と骨

夢や平和などの理想論を抜きにして、今の人が1番欲しがるのは金だろう。「金で買えないものはない」「女は金についてくる」と大々的にうたっても社会的信用を失わないどころか、むしろ尊敬される社長が存在するほど金持ち至上主義が浸透した日本ではぶっちぎりで1位になるはずだ。


そして2位は恋人だろう。これも恋愛をすることで幸せになりたいというより彼氏(彼女)がいないとカッコ悪いというのが本音であり、いわばファッションの一部と考えている人が増えているような気がする。経済的成功を勝ちとするのは資本主義社会としては当然だが、去年流行った負け犬という言葉に代表されるように、最近は恋愛できない人を負けと見る風潮が表に出てきた。


そんな話題は、以前は高校生や主婦たちが陰でこそこそと笑いあう陰口レベルのものでしかなかっのに、今ではテレビ番組で女性タレントが自分の恋愛遍歴をおおっぴらに語りまくって、モテない出演者を馬鹿にしたりしている。金と女(男)に対して異常にがっついているのが現代であり、その雰囲気はもしかしたら太平洋戦争後の日本と似ているのかもしれない。この作品を見てそう感じた。


ビートたけし演じる主人公、金俊平は金と女に異常なほど執着した人間だ。アコギな方法で金を荒稼ぎするし、そこら中に子供を作る。そんなヤツの周囲にいる人たちは狂犬と共同生活しているようなもので、毎日が戦争状態だ。狂犬の子もまた狂犬であり、それに気性の似たもの同士が集まるという法則も加わるから、周囲は在日朝鮮人、日本人問わずロクでもないヤツばかりになる。この不幸のスパイラルの中心にいるのが金と女にしがみつく男だということを考えると、自分を含めた日本の若者の将来を見たような気になった。




タイトル: 血と骨 コレクターズ・エディション