くうねるよむみる

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ヴァイブレータ

「人はひとりでは生きていけない」最近、この言葉をよく耳にする。偶然人から聞くこともあるし、本を読んでいて目にすることもあるが、要するに自分の頭の中でそういう思いが強くなっているということだろう。そのためか、近頃初対面の人に対して比較的優しく接するようになった。そして仲良くなるにつれワガママになってしまい、たびたび関係を悪化させてしまうのだが、そのあたりは今作で寺島しのぶが演じる主人公・玲のようである。
 
自分も含め、人との距離をうまく測れない人が増えているような気がする。原因は人によって千差万別だろうけど、そういう人のそばにいると周囲は確実に振り回されてしまい、あげくのはては本人と一緒に不安定になっていくことが多い。
 
なぜそうなるかというと、振り回されていることに周囲が気づかないからだ。まわりの人たちは揺れ動く当事者を気づかい、いろいろと世話を焼き、ときには相手のためを思って厳しいことを言ったりもする。けれど、その行動が渦の中心にいる人をよけい苦しめてしまう。そして結果的に「相手を追い込んでしまった」という罪の意識から自分も不安定になってしまう。そうしてまたひとり、「周囲を振り回す困ったちゃん」が誕生するのだ。
 
自分が振り回されていることに気づき、相手と距離を取れればそんなことは起こらないが、自分の中にそんなものさしを持っている人はなかなかいない。何度も人生の修羅場をくぐっている必要があるからだが、そういう意味ではエリートよりもいわゆるヤンキーあがりのほうが対人関係のものさしを持っていて、そんな揺れている人をうまく癒せるのかもしれない。元ヤンの先生や元ヤクザの弁護士がちやほやされるのはそういう理由もあったりして。
 
 
 
 
タイトル: ヴァイブレータ スペシャル・エディション