くうねるよむみる

いいモノ、いいコンテンツ、いい人を知りたい

クリスマスのフロスト

下品でワーカホリックな人間を1人知っている。まわりに迷惑をかけるためだけに存在しているようなヤツだった。二度と会いたいと思わないのだが、こんなところで再会を果たしたような気分になった。この作品の主役・フロスト警部は、きっとそいつと一緒のタイプで現実にいたら、きっと誰からも嫌われる人に違いない。

 

そんな空想世界ならではの人物は、バーチャルな中だからこそカッコイイのだ。サラリーマン金太郎など、例をあげていったらキリがないが、そのキャラにあこがれて現実になりきってしまうカン違い人間が多いのもいやはやである。ちなみに上記のヤツもサラ金にかぶれてた。

 

この作品の探偵役であるフロスト警部は間違ってもあこがれたくない人種である。品のない冗談が好きでファッションセンスは皆無。整理整とんという言葉を知らないという、ワイドショーにでもでてきそうな奇人変人ぶりである。フィリップマーロウがハードボイルドなら、フロスト警部は腐った卵であろう。卵は腐ると温泉のイオウ臭と同じ強烈なにおいを放つ。近寄った人は誰もが眉間にシワをよせるという意味で、ピッタリなたとえだと思うのだけれど…。

 

ストーリーはおもしろいのだが、個人的にあの嫌なヤツの顔が頭にちらついてしまったため、素直に楽しめなかったのが悔しい。登場人物が誰もかれもよくしゃべるということと話がごちゃごちゃしているうちに核心に近づくという、海外ミステリー特有のノリについていける人は読んで損はない。

 

著者: R.D ウィングフィールド, R.D. Wingfield, 芹澤 恵
タイトル: クリスマスのフロスト