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女たちのジハード

女が元気な時代である。そして、女は幸せを得ることに対してどん欲である。この作品に登場する5人の女性はかたちこそ違うが、全員が幸せを得るために努力をしている。ときにはアグレッシブに、またあるときはその場の流れにまかせて行動した彼女たちは、最後には全員が自分なりの幸せを手に入れる。読んでいてとても元気が出る作品だ。

ただ、1つ感じたのは、彼女たちが最後に見つけた幸せのかたちは、どれも最初に思い描いていた幸せとは違うということだ。しかも、決して幸せのランクを下げたわけではない。むしろランクアップしている人もいる。これは女性しかもっていない性質なのではないか?

男の場合、その人の中での幸せの価値観は、あまり変わることがない。子供のころに持った夢や幸せを大人になってもずっと追い求めている気がする。そのポリシーは、変化が激しい現代では幸せを得づらいのかもしれない。だから、今幸せを得やすいのは女性であり、その理由は彼女たちが潜在的にもっている「柔軟な価値観」にあるのだ。

比較的頑固な人間である自分は、夢に対しても一途であり幸せのかたちはずっと変わることがなかった。もっとフレキシブルになれば幸せになれるのかもしれない。小説として楽しめる上に、幸せGETマニュアルとしても使える。お得な作品である。


著者: 篠田 節子
タイトル: 女たちのジハード