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セックスボランティア

一般的に障害者という言葉からイメージするものは何だろう? 生まれつきまたは突然の病気や事故のため背負ったハンディに負けることなく力強く生きる、天使のような存在だろうか。「同じ人間なのだから差別をしてはいけない。平等に権利を与えるべきである」と叫ぶ人権団体の姿だろうか。確かに彼らも同じ人間であるから、ワガママも言うし恋愛感情も性欲も持っているのだ。

この本は、今まで誰もが見てみぬふりをしてきた部分に真正面から取り組んでいる。この姿こそ障害者を健常者と平等に扱うことであるとわかっているが、実はこれも理想論であり、実践しようとすると日常生活のそれよりも、数倍複雑な問題が浮かび上がってくる。理解しなければいけないと思いつつも、もし自分がセックスボランティアに参加を要請されたら、と考えると思考がストップしてしまうのが正直な感想である。

読んだ後、試しにソープランドのWebサイトをいくつか開いてみた。すると、2~3店舗ではあるが、「障害をお持ちの方もどうぞご入店ください」といった文章が見られた。エレベーターがないため車椅子の方はお断りしているなど、結構詳しく書かれているお店もあったが、裏を返せば今までに多くの客から確認の電話をされているということだろう。

そして、そんな説明が書かれているのは、いわゆる高級店に多い。「うちは値段が高い分、他の店よりも質の高いサービスをしているんだ」というプライドが感じられた。やはり一般人よりも面子や体面を重んじる方々が経営されているからだろうか。


著者: 河合 香織
タイトル: セックスボランティア