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恋の門

今最も旬な才能の1人、松尾スズキの初監督作品。とにかくスピード感あふれる演出で、疲れているときに見ると、ヘトヘトになること間違いなし。大人計画の芝居は見たことがないが、きっとこの作品のように活発に動きまくるに違いない。

監督・松尾スズキの撮る映像は、おかずがやたらと豪華だ。普通、誰かがしゃべっている場面では、見る方は自然とその人に焦点を合わせているが、この作品では、それ以外のところにいる登場人物がおもしろい動きをしていたりする。違う意味で、見ていて気を抜けない。

当の本人も主人公のライバル役・毬藻田として出演していて、いい感じで不気味な雰囲気を醸し出している。もし、毬藻田が経営しているような漫画バーが存在するなら、ぜひ一度行ってみたい。ここまで書いて気付いたが、今まで酒を飲みながら漫画を読んだことはなかった。ぶっとんだギャグ漫画なんかを読むと、結構トリップするかもしれない。

売れないころの自分への自虐のように聞こえる、クリエイティブな道を志すフリーターに対する激しい誹謗中傷のセリフから始まる物語は、世界でただ1人という石に漫画を描く青年、門と、OLでありながら売れっ子同人漫画家でもある恋乃の2人を軸とするラブコメディだ。酒井若菜演じるヒロイン・恋乃は、ある理由から恋人の門にも言えない秘密を隠している。ラスト近くに明らかになったときは笑って見られたが、現実に、恋乃と同じ理由で同じことをやっている人はかなりいそうな気がする。とくにオタクの人たちって、目的を達成するためには、一般人がマネできない大胆な手段に出るときがあるから。

内容自体もおもしろいし、作中で酒井若菜大竹しのぶがコスプレしているので、話題づくりに見ておくものよさそうだ。





タイトル: 恋の門 スペシャル・エディション (通常版)