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だから、あなたも生きぬいて

ジェットコースターだってこんなに落差ないぞとツッコミたくなるような激烈な人生を送った著者・大平光代の半生記。

中学生でいじめにあい自殺未遂。それから非行に走り、挙げ句の果ては極道の妻になったと思えば、そこから立ち直り弁護士になるという経歴を見ただけで、この人は極端な性格であることがわかる。

その代表的エピソードこそ中学時代の自殺未遂だ。何と大平さんは割腹自殺という、当時の大人でさえやらないと思われる方法をとるのである。大平さんは現在、税金の無駄遣いでバッシングされまくりの大阪市の助役を兼務している。こんな人ならきっと徹底的に膿を出してくれると期待している。

けれど、正直この本の構成には不満が残る。大平さんが司法試験に合格するまでの道のりにはたっぷりとページを割いているのに、中学時代に非行に走ってから極道の妻になるまでの経緯と当時の生活ぶりがほとんど書かれていないのだ。

極道時代の生活は公表できないくらいヤバイものだったのだろうか? それともこの本のメインは「どん底からの復帰」であるから、転落する方は大事じゃないと思ったのか? 理由はわからないが、人生を転げ落ちるエピソードも太平さんという人物を語るのに欠かせない部分だし、非行と暴力団がどういう風に関わっていて、それを断ち切るためのケーススタディになると思うのだが。

今でも背中にイレズミが残っているため、銭湯や温泉には入れないという大平さん。きっと自分への戒めとしているのだろう。そんな彼女を尊敬しているからこそ、もしお会いする機会があれば、上記のことを質問してみたい。




著者: 大平 光代
タイトル: だから、あなたも生きぬいて