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亡国のイージス

2005年だけで原作小説や脚本など関わった映画が3本も封切りされる、日本のトム・クランシー福井晴敏の作品。元々映画業界を志しただけあって、「クライマックスは爆発がなければならない」など、作風は実に映像的で派手である。

おもしろいのは、敵役が雄弁で哲学的で一般人では勝てそうもないキレ者であるのに対し、主人公は偏屈だったり感情で動いたりする嫌なヤツであることだ。要するに敵のほうがカッコイイのだが、これは作者が自他共に認めるガンダムオタクのせいだろう。今作でも主人公と敵役はアムロとシャアの関係を思わせるが、この「嫌なヤツ的な主人公VSカリスマ的な敵役」という図式の出所はどこなのだろう? イマイチ思いつかないが、やっぱりガンダムが最初なのか? 

個人的な疑問はさておき、ストーリーは「燃えどころ」が随所にちりばめられた極上のアクション作に仕上がっていて、字を追うのがもどかしくなるほどのめりこめる。こんな作品を書く作家がもっと増えて、純愛ブームなんか吹き飛ばしてほしい。




著者: 福井 晴敏
タイトル: 亡国のイージス 上 講談社文庫 ふ 59-2