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キャプテン

純粋野球漫画の大傑作。登場人物たちは本当に野球しかしないし、家族や家の描写も谷口タカオ(当時の担当編集者の名前を拝借している)を除けばほとんどない。「巨人の星」の星飛雄馬は野球漬けの人生に疑問を感じたし「ドカベン」の山田太郎は連載開始当初は柔道部だったのと比べても、この作品が異常なまでに野球一筋なストーリーであることがわかる。

そして、「キャプテン」で象徴的なのが地獄の猛練習シーンである。谷口がキャプテンの年は体中生傷だらけになるほどの至近距離からノックをしたし、次の丸井の年は部員が次々と夜逃げするほどの過酷な合宿をした。

こんなことやってたらPTAから文句が来るだろうと思っていたら、イガラシがキャプテンの年には、練習中に部員がケガするエピソードが出てきた。作者のちばあきおもちょっとやりすぎたと思ったのかもしれない。ちなみに、そのときの練習は1日の3分の2を練習時間にあてるというものだった。

それが近藤がキャプテンになったときは、猛練習のエピソードはなかった。はじめて猛練習をしない時代がやってきたのだが、それは同時に物語としての終わりも意味していた。ちばあきおは、近藤をキャプテンにしたときから終わらせるつもりだったに違いない。



著者: ちば あきお
タイトル: キャプテン (1)