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極東学園天国

とにかく暑苦しい。まるで昔の大映ドラマのように、青臭いセリフを次々と生み出す、若気のいたり製造機日本橋ヨヲコの作品である。要領がいい人や世渡り上手な人には理解不能な場面が随所に出てくるが、生きるのが下手な人種にとってはツボを押されまくりなシーンばかりだろう。

場面は近未来の日本。問題児ばかりが集まった高校で、生徒たちが授業そっちのけで大暴れするというストーリー。「文化祭の前日」の雰囲気が日常的に繰り返される、オタク的要素を持つ人にとっては夢のような高校生活が描かれている。実際の高校生活に不満を持った人ほどハマるに違いない展開で、実際自分もどっぷりとのめりこんでしまった。

ただ、この作品は全4巻なのだが、1~2巻だけが好きという人は結構多いに違いない。なぜなら3~4巻は最大の売りであるはずの「文化祭の前日」の空気が全然感じられないから。そこにあるのは、いわゆる進学コースで勉強だけをやらされる私立校にありがちな乾燥感と試験当日の朝のような微妙なピリピリ感。シリーズものの映画の2作目のように鬱々とした展開がだらだらと続いてしまい、ちっともアツくならないのである。

もともと2巻までは連載開始前に書きためていたそうだから、それ以降テイストが変わってしまったのも仕方ないのだけれど。最初のにおいを維持したまま、後で作者が語っているが、ハイスクール奇面組のようなお馬鹿イベント話をやって欲しかった。

3巻以降、"学園天国"じゃなくて"学園地獄"だし。





著者: 日本橋 ヨヲコ
タイトル: 極東学園天国 1 (1)